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ROASの損益分岐点とは?「ROASは高いのに赤字」を防ぐACoS・ROASの境目の出し方

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広告管理画面では ROAS 300% と出ている。それなのに月末に締めると、その商品はほとんど利益を残していない——Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング・Shopify で広告を回していると、よく起きることです。

原因の多くは、広告の成果が悪いことではなく、「この商品はどこまで広告費をかけてよいか」という境目を、原価・手数料・送料まで入れて決めていないことにあります。この記事では、その境目である 損益分岐のACoS・ROAS の出し方を、架空の数字で計算しながら整理します。

手元の数字ですぐ試したい場合は、無料の 広告の損益分岐 ACoS・ROAS 計算ツール を使えます。販売個数と広告費まで入れた1個あたりの広告後粗利は、広告後粗利の計算ツール で出せます。どちらも登録は不要で、入力した数字はサーバに送りません。

ROASとACoSのおさらい

  • ROAS = 広告経由の売上 ÷ 広告費(%で表すことが多い)
  • ACoS = 広告費 ÷ 広告経由の売上

ACoS と ROAS は逆数の関係です。ACoS 25% は ROAS 400%、ACoS 50% は ROAS 200% です。

どちらも 売上と広告費の比 であり、原価・モール手数料・送料は入っていません。だから ROAS が高いことと、利益が出ていることは別の話になります。

損益分岐の式は2つだけ

先に、広告を出す前の1個あたりの利益を出します。

  • 広告前の利益 = 販売価格 − 原価 − 販売価格 × 手数料率 − 送料・梱包・物流
  • 広告前の利益率 = 広告前の利益 ÷ 販売価格

これが分かれば、境目は次の2つです。

  • 損益分岐のACoS = 広告前の利益率
  • 損益分岐のROAS = 1 ÷ 広告前の利益率

理由は単純で、広告経由で売れた分の利益(広告経由の売上 × 広告前の利益率)を、広告費がちょうど食い切る点が損益分岐だからです。広告後の利益は次の式で概算できます。

  • 広告後の利益 = 広告経由の売上 × 広告前の利益率 − 広告費

広告前の利益率が 0% 以下の商品は、どんな ROAS でも広告で利益は増えません。先に価格・原価・物流を見直す対象です。

架空の数字で計算する

以下は説明用の 架空の商品 です。実在の店舗や商品の数字ではありません。

  • 販売価格: 5,000円(税抜)
  • 原価: 2,000円
  • 売上に比例する費用(モール手数料・決済・ポイント原資などの合計): 17%(=850円)
  • 送料・梱包・物流: 500円(1個あたり)

広告前の利益は 5,000 − 2,000 − 850 − 500 = 1,650円、利益率は 33% です。

  • 損益分岐のACoS = 33%
  • 損益分岐のROAS = 1 ÷ 0.33 ≒ 303%

この商品で、ある月に広告費 100,000円、広告経由の売上 300,000円だったとします。ROAS は 300%、ACoS は約33.3%です。

  • 広告後の利益 = 300,000 × 0.33 − 100,000 = −1,000円

ROAS 300% は一般には「悪くない」数字に見えますが、この商品では わずかに赤字 です。境目の 303% を下回っているからです。

入れ忘れると境目がずれる

同じ商品で、送料 500円とポイント原資などの 2% を入れ忘れ、「原価と販売手数料 15% だけ」で計算したとします。

  • 広告前の利益 = 5,000 − 2,000 − 750 = 2,250円(利益率 45%)
  • 損益分岐のROAS = 1 ÷ 0.45 ≒ 222%

この計算だと「ROAS 250% なら黒字」と判断します。実際の利益率 33% で ROAS 250%(広告費 100,000円、広告経由の売上 250,000円)を計算し直すと、

  • 広告後の利益 = 250,000 × 0.33 − 100,000 = −17,500円

入れ忘れた費用はわずか1個あたり600円ですが、広告をかけてよい上限は大きく変わります。

「ROASが高いのに赤字」になるよくある原因

1. 原価の入れ忘れ・古い原価

仕入れ値が上がったのに、計算に使う原価が以前のまま、というケースです。セット商品やノベルティ同梱で、実際の原価が単品より高いこともあります。

2. モール手数料を販売手数料だけで済ませている

モールの費用は販売手数料(システム利用料)だけではありません。決済サービスの利用料、ポイント原資、アフィリエイト経由の報酬など、売上に比例してかかる費用はまとめて手数料率に入れる のが安全です。率はモールやプラン、カテゴリーで違うため、各モールの最新の料金表で確認してください。

3. 送料・FBA手数料・梱包を入れていない

送料無料で売っている商品は、送料が丸ごと自社負担です。Amazon の FBA を使う場合は、配送代行手数料など1個あたりの費用がかかります。こうした 1個あたり定額の費用 は、手数料率ではなく「送料・梱包・物流」に入れます。価格が低い商品ほど、利益率への影響が大きくなります。

4. ポイント・クーポンの負担

店舗負担のポイント倍率アップやクーポンは、実質的な値引きです。セール期間だけ利益率が下がるなら、その期間の損益分岐ROASも上がります。

5. 広告経由売上の重複・含みすぎ

広告管理画面の「広告経由の売上」は、媒体ごとの計測ルールで数えられます。

  • Google広告・Meta広告・モール内広告が、同じ注文をそれぞれ自分の成果として数える ことがあります。媒体ごとの ROAS を足すと、実際の売上より大きくなります
  • 広告が無くても売れた注文(指名検索やリピート購入)も、広告経由に含まれることがあります

管理画面の ROAS は、利益を判断する材料としては 甘めに出やすい と考えておくのが無難です。全体の売上に対する広告費の比率(TACoS)も並べて見ると、重複に気づきやすくなります。

商品×モールで確かめる手順

損益分岐は、商品ごと、モールごと に違います。同じ商品でも、モールによって手数料率・送料の負担・ポイントの扱いが変わるからです。平均の利益率で一律の目標ROASを置くと、利益率の低い商品で赤字が出ます。

  1. 主力商品を数点選ぶ: 広告費が大きい順に上から5〜10商品
  2. 商品×モールの組み合わせごとに、広告前の利益率を出す: 原価・手数料率(決済・ポイント込み)・1個あたりの送料と物流
  3. 損益分岐のACoS・ROASを書き出す: 広告運用の目標値の横に並べる
  4. 直近の実績と比べる: 同じ期間の広告費と広告経由の売上で、広告後の利益を計算する
  5. 境目を下回る組み合わせから手を打つ: 入札・予算の調整、価格や送料条件の見直し、広告の停止を検討する

1つの組み合わせを試すだけなら、広告の損益分岐計算ツール に販売価格・原価・手数料率・送料を入れれば、損益分岐のACoS・ROAS と広告後の利益がその場で出ます。

商品が増えてきたら

商品×モールの組み合わせが数十を超えると、表計算で毎月計算し直すのは手間がかかります。EC Choice AI では、商品原価を登録し、広告費をCSVなどで取り込むと、商品×モールごとの広告後粗利 を同じ画面で見られます。原価が未登録の商品は利益を ¥0 とせず「未確定」として扱い、商品まで紐づかない広告費はモールの売上比で按分した 概算 として表示します。

広告が粗利を上回っている商品などは「次にやること」の候補に出ます。そこから施策として記録すると、実施前後の数字を比べられます。

まとめ

  • 損益分岐のACoSは 広告前の利益率、損益分岐のROASは その逆数
  • 原価・手数料(決済・ポイント込み)・送料や物流を入れないと、境目は甘く出る
  • 管理画面の広告経由売上は重複や含みすぎがあり、ROASは高めに出やすい
  • 目標ROASは平均で一律に置かず、商品×モール ごとに決める

まずは広告費の大きい商品から、計算ツール で境目を確かめてみてください。

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