ACoSの損益分岐点を3分で出す方法 — 原価・手数料から逆算する計算式と例

Amazon広告や楽天RPPを運用していると、「ACoSは何%なら大丈夫なのか」「ROASは何%を目標にすればいいのか」という疑問がよく出てきます。答えは商品ごとに違います。基準になるのは、その商品の粗利から逆算した損益分岐点です。この記事では、損益分岐ACoSとROASを出す式と、数字を入れた計算例を紹介します。
ACoSとROASのおさらい
ACoS(売上高広告費比率)
ACoSは「広告費 ÷ 広告経由の売上 × 100」です。広告で売れた金額のうち、何%を広告費に使ったかを表します。低いほど広告の効率がよいことになります。
ROAS(広告費用対効果)
ROASは「広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100」です。ACoSの逆数にあたり、ACoSが25%ならROASは400%です。モールや代理店によってどちらで話すかが違うので、両方を行き来できるようにしておくと便利です。
損益分岐ACoSの考え方
広告費を引いても赤字にならないギリギリのラインが損益分岐点です。広告を使う前に、1個売れたら手元にいくら残るか(広告費を引く前の利益)を出します。
広告前利益 = 販売価格 − 原価 − モール手数料 − 送料・梱包費 − その他の変動費
この広告前利益が販売価格の何%にあたるかが、そのまま損益分岐ACoSになります。
損益分岐ACoS = 広告前利益 ÷ 販売価格 × 100 損益分岐ROAS = 100 ÷ 損益分岐ACoS × 100

ACoSがこの数字を超えると、売れるほど赤字になります。
計算例:販売価格5,000円の商品
以下は説明用の計算例です。数字はきりのよい架空の値で、実在の商品やお客様の数字ではありません。
項目 金額(計算例) 販売価格 5,000円 原価 2,000円 モール手数料(仮に10%) 500円 送料・梱包費 700円 その他の変動費(ポイント原資など) 300円 広告前利益 1,500円- 損益分岐ACoS = 1,500 ÷ 5,000 × 100 = 30%
- 損益分岐ROAS = 100 ÷ 30 × 100 ≒ 333%
この計算例の商品なら、ACoSが30%(ROASが約333%)を下回っていれば広告費を引いても黒字、上回れば赤字です。

目標ACoSは「損益分岐」より低く置く
損益分岐ちょうどでは利益はゼロです。実務では、残したい利益を先に決めて目標ACoSを置きます。
目標ACoS = 損益分岐ACoS − 残したい利益率
計算例の続き
上の計算例で、販売価格の10%(500円)を利益として残したい場合:
- 目標ACoS = 30% − 10% = 20%
- 目標ROAS = 100 ÷ 20 × 100 = 500%
このように、同じ「ROAS 400%」でも、粗利の厚い商品では十分、薄い商品では赤字ということが起こります。目標は商品ごとに分けて持つのが基本です。
よくある計算ミス
モール手数料やポイントを入れ忘れる
楽天のポイント原資やクーポン、Amazonの配送代行手数料などを入れないと、広告前利益が実際より大きく見え、損益分岐ACoSを高く見積もってしまいます。セール期の考え方は楽天スーパーセールの利益確認でも詳しく書いています。
広告経由の売上だけで判断する
ACoSは広告経由の売上で計算しますが、広告がきっかけで自然検索の順位が上がり、広告以外の売上が増えることもあります。広告経由だけでなく、全体の売上に対する広告費(TACoS)も合わせて見ると判断がぶれにくくなります。
モールごとに定義が違う
Amazonと楽天では、広告経由売上の集計期間や数え方が違います。比べる前に定義をそろえる必要があります。考え方はEC売上の見える化で解説しています。
損益分岐を出したあとの使い方
- 商品ごとに損益分岐ACoSと目標ACoSを出す
- 実際のACoSと並べ、「赤字の広告」「目標内の広告」「余裕がある広告」に分ける
- 赤字の広告は入札を下げるか止め、余裕がある広告は予算を寄せる
- 週に一度、数字を入れ直して見直す
この分け方の具体的な手順は、モール広告のROASをAI分析で改善する手順にまとめています。
AI分析で伸ばした手順を、ツールにしました
私たちは運用支援で、この「商品別の損益分岐を出して、止める・伸ばすを分ける」作業をAIによる分析で回してきました。運用支援での実績の例として、Amazon広告のROASが320%から580%(最高月)になったケースがあります(詳しくはAmazon広告のROAS改善の手順)。成果は商品や市場の状況によって変わります。
この手順を誰でも使えるようにしたのがEC Choice AIです。売上・広告費・原価・手数料をまとめて、商品ごとの広告後の粗利を出します。まずは手元の数字で試したい方は、無料の広告の損益分岐 ACoS・ROAS 計算ツールもお使いください。
まとめ
- 損益分岐ACoS = 広告前利益 ÷ 販売価格
- 目標ACoSは、残したい利益率の分だけ損益分岐より低く置く
- 手数料・ポイント・送料の入れ忘れと、モールごとの定義の違いに注意
- 商品ごとに目標を分け、週ごとに見直す
まずは無料で試す
EC Choice AIのFreeプランは¥0・1モールまで、クレカ不要で始められます。有料プランはStandard 月¥9,800(税別)、Premium 月¥24,800(税別)です。AIによる改善提案はPremium以上でお使いいただけます。
